ライブ・ア・ライブ |
総合評価 |
+B |
マイナー作品ながらも評価を受けたオムニバス形式RPG
1994年にスクウェアからひっそりと発売されたRPG。
今作は多くの漫画家や作家とタイアップした意欲作であり、9つのシナリオに分けられたオムニバス形式。
売上本数は約27万本と、当時としては小ヒットレベルの普及率であり、マイナータイトルとされている。
シナリオ(時代)ごとにテーマが決められており、そのテーマを辿って行く内容は、
結末へと向かううちに、プレイヤーを虜にするほどの整ったもの
となっていました。
評価点と失点
評価点
好き嫌いの分かれるオムニバス形式を採用しているが、今作はこの形式が非常に活きている印象である。
RPGの核となるストーリーは、スクウェア全盛期らしいものだが、だからこそ高い完成度を誇っている。
7つのシナリオをクリアして、開放されるシナリオと、さらに開放されるシナリオの展開は衝撃的である。
キャラクターデザインは漫画家やイラストレーターが、主人公1人ずつを担当している。
中には『おぼっちゃまくん』で御馴染みの小林よしのり氏、『名探偵コナン』の○○○も入っている。
デザインだけでなく、タッチそのものが異なるため、同じ作品なのに違う世界観が表現されているのだが、
今作のコンセプトや流れそのものが、違う世界観で構成されているため、違和感は全くない。
宇宙船を舞台に乗員が次々と死んでいくサスペンスホラー調のSF編、最強の格闘王を目指す現代編、
拳法の老師と後継者を描いた功夫編など、合計9つのシナリオが楽しめるのでボリューム面では申し分ない。
また、それぞれに鬱要素を感じさせる表現や展開が用意されているが、
基本的にプレイヤーを盛り上げる展開があるため、十分にカバーしてくれている。シナリオの質も高い。
幕末編での0人斬り・100人斬り、現代編での敵が放つ技の習得など、やり込める要素がかなり多い。
また、選択肢や展開によってはエンディングも変わる。特に最終シナリオの真エンドは頑張って見てほしい。
7×7マスのフィールドで行われる戦闘は、最初の戸惑いこそあるが戦略的な面もあってなかなか楽しい。
何が何だか理解できずにやられ続けるかもしれないが、色々遊べる戦闘システムであることに気付くだろう。
リアルタイムバトルではないため、キャラの行動を選択する猶予は十分にある。試行錯誤の面白さも。
下村陽子氏が担当するBGMは、どれもこれもお世辞抜きに名曲揃い。
『MEGALOMANIA』『GO!GO!ブリキ大王』『LIVE・A・LIVE』など、非常に聴き応えのある曲が揃っている。
このゲームをやらずとも、個人的にはサントラを買う価値アリと思っているほど、評価点の高い分野である。
失点
オムニバス形式ゆえに、最後までやらないと異なるストーリー間の関連性に気付きにくい。
その結果、人によっては話の流れを理解できない事を嫌がって投げる可能性もある。
RPGは、徐々に真相に迫るストーリーが評価を得やすいようだが、今作はそういうものではない。
シナリオ毎に難易度や戦闘、行動の仕方が大きく異なるので、最初に選ぶシナリオで印象が変わってしまう。
特にシナリオ選択画面で初期位置にある幕末編は、やり込み含めて難易度が高い。慣れるまで放置推奨。
西部編は3回程度。SF編は事実上1回しか戦闘がないなど、システムの差に戸惑いを感じる場面も。
デモ画面や戦闘画面は別として、全体的に描写性は高くない。フィールド画面はむしろ荒っぽい。
キャラデザインをイラストレーターに依頼している割には、その個性がゲーム画面から感じ取りにくい。
敵味方問わず地形変化技を使うことで、地形ダメージ・回復を考えた戦略的な戦闘を楽しむことが出来る。
・・・のだが、敵は地形変化による回復効果を複数マスから得られる反面、ダメージは1マス分のみ。
こっちは回復もダメージも1マス分になるため、必然的にこの地形効果はこっちに不利になってしまう。
仮に大ダメージを与えても、敵が複数マスから回復効果を得た場合は、回復量が上回り、勝てなくなる。
最終編では、初期選択できるシナリオの主人公たちを使用可能で、条件を満たせば好きな3人で戦える。
非常に興味深いシステムだが、キャラごとの優劣がはっきりしてしまっているため、使い辛いキャラも出てくる。
そのため、安定して攻略したいならパーティ固定化は避けられない。サンダウンとおぼろ丸が強すぎ・・・。
目立たない事そのものが勿体無い作品
売上本数が少ないため、あまりこのゲームの事を知っている人が多くない事が残念ではあります。
しかしながら渋い売上ゆえにマイナーとされながらも、その面白さとゲーム性の高さは大いに評価できます。
細かな点で不満はありますし、異質ゆえにとっつきにくい部分もありますが、
それを差し引いてもシナリオの完成度、音楽性、プレイヤーの予想を覆す展開と安心の操作性、
これら大事な要素がしっかりと整っており、またレベルも高いと判断します。
評価点を見れば分かると思いますが、特に音楽性の高さは手放しで評価できます。下村氏には頭が上がりません。
目立たないからあまり大きく評価されていない・・・という印象があるため、そこは残念です。
願わくば、ダメ元でも構わないので、中古屋で見かけたら買ってプレイしてみてほしいところです。
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