MOTHER2〜ギーグの逆襲〜 |
総合評価 |
A |
『大人も子供もお姉さんも』
1989年にファミコンで発売されたMOTHERの続編がスーパーファミコンに登場。
プレイヤーは世界を救う使命を突然与えられた少年となり、
3人の仲間たちと共に銀河系すらも支配することを企む黒幕を倒す旅に出ます。
RPGとしては一見すると王道のような印象を受けますが、
多くのRPGとは異なった世界観とシステムがウリとなっていて、
その独創的なゲーム性は多くの人々から現在も高い評価を受けています。
かくいう筆者もこのゲームを発売から10年くらい経った後にプレイし、
様々な感想を抱きました。
キャッチフレーズは『大人も子供もお姉さんも』であり、
プレイしてこのキャッチフレーズに違和感こそ感じながらも名作と思っています。
評価点と失点
評価点
ほのぼの、シリアス、SFなど種類が異なり、何のつながりも無さそうなシナリオが展開される。
これは急展開ながらも徐々に壮大な冒険となっていく事をプレイヤーに予感させ、楽しさを引き出している。
特に序盤からその予兆は存在しており、最終目的を達成した時点で違和感を覚えることもない。
キャラ性能は4人とも大きく異なっており、一癖も二癖もある友達が仲間になる。
それぞれに目的やセリフが用意されているため、愛着が沸きやすく、冒険そのものを盛り上げてくれる。
また、パーティメンバー以外、例えばシナリオに絡むキャラ達も、とても印象深いキャラが多い。
戦闘はシンボルエンカウントにて行われ、HPとPPはドラムロール式で増減するシステムとなっている。
馴染みにくさはあるが、慣れると即死攻撃から回復できたり、形成を逆転できる場面もあり、とても戦略的。
自爆で味方に致命傷を与える敵を最後に倒して被害を抑えるなど、使い方次第で抜群の楽しさを発揮する。
武器などの装備品や回復アイテムのバリエーションが非常に豊富で、ついつい試したくなる。
中には命中率の悪い地雷武器や、大した効果のない高額回復アイテムなどの落とし穴もあるが、
それらを加味しても世界を旅している気分を味わえて親しみを持つことが出来る。
操作キャラ以外のセリフ、看板、アイテムの説明など随所にユーモアやジョークが盛り込まれている。
特に『ぶんどき』の説明、あるアイテムを使用した後にやって来る買い物客の反応など、とても楽しい要素だ。
シュールな笑いも数多く用意されているため、ニヤリとする場面がかなり多いのも好印象。
街により異なったBGMが用意されており、それぞれが良曲以上の完成度になっている。
さらに洞窟やダンジョンなどでも雰囲気を大事にしたBGMが流れる。エンディングの曲は特に素晴らしい。
失点
シナリオを作った糸井重里氏は、独創的な世界観を持っており、今作にもそれが如実に反映されている。
ゆえに急展開、ダークな空気への変化、狂った雰囲気などもシナリオに含まれているため、人を選びやすい。
特筆すべきはムーンサイドとラスボス戦あたりだが、これについてはそれなりの失点材料なので後述する。
某動画サイトにて『みんなのトラウマ』としてタグ付けされているムーンサイドという場所が問題。
ここの雰囲気や人々の発言は文字通り『狂気』に満ちており、夜中にここを冒険するのはオススメできない。
詳細こそ控えるが、この場面でゲームを投げた人もいるほど怖い場所として有名。いきなりの展開だし…。
ラスボス戦は『糸井氏の世界は狂っている』と確信できる仕上がり。是非自分の目で確かめて欲しい。
ある人物が何故、主人公達と対峙して最終的にはラスボスの味方になるのかが、本編で明かされない。
これは脳内補完、つまりプレイヤーに状況の推察をしてもらうという点ではあまり大きな失点でもないが。
ゲームの難易度自体は難しくはないが簡単でもないというレベルに落ち着いている。
ただし戦闘の難易度は崩壊気味であり、バランスをぶち壊す強力なアイテムや技が手軽に使えてしまう。
まぁプレイヤーが自重すれば問題はないし、必ず上手くいくというわけでもない。しかしバランスは良くない。
独創的なシステムと総評
シナリオ面、システムなど好き嫌いが分かれそうなゲームですが、本質的に良作以上であり、
筆者はこのゲームを大そう楽しみました。評価としては名作レベルです。
クセの強い世界観は、決して受け付けないものでもなく、一部の場面を除けば概ね好印象です。
失点そのものも大きな減点というわけではなく、コンセプトである
『おとなもこどももおねえさんも』
に嘘偽りはありません。まぁムーンサイドは大人でも怖いと思う場面ではありますが。
賛否両論あれども楽しむための要素は充実しており、ハマる人はハマるゲームでしょう。
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