街ingメーカー |
総合評価 |
+C |
あなたは都市開発プロデューサー
シムシティやA列車などの箱庭都市開発シミュレーションに程近いゲーム。
プレイヤーは都市開発プロジェクトのプロデューサーとなり、
用意された土地に住民を呼び込んで、街を作り上げていくことが目的となります。
後述しますが、シムシティなどとは違う形で街を作り上げることになるため、
見方によってはシムシティシリーズよりも自由度は高い面もあります。
また、この作品には実在するテナントが登場するというサプライズ(?)もあります。
ローソン、サンクス、ミキハウス、モスバーガー、AOKIなど、
日用品から食料品まで手広くジャンル分けされた建造物があります。
評価点と失点
評価点
シムシティやA列車とは異なったスタイルの都市開発シミュレーションとして、見事に差別化が図られている。
今作の開発のキモは住人とのコミュニケーションであり、今までとは違う都市開発が楽しめる。
住人とのコミュニケーションは、適切な話題を振って親密度を上げていく形式。
親密度が一定以上になると、新たに住人を紹介してもらえる。この会話内容の種類もなかなか多い。
このシリーズ最大のウリは、実在する企業を自分の街に誘致できる事に尽きると言っても過言ではない。
その実在企業は、飲食店やコンビニはもちろん、洋服や子供服を取り扱う企業など多岐にわたる。
文房具屋、八百屋などの日常生活において必須のテナントも細かく細分化されている。
実在する企業を含めて買い物も出来るため、体力回復やプレゼントを調達したりと楽しみ方はそこそこ多い。
住人の意見や要望を取り入れて誘致を進めていくなど、自治体の責任者になったような感覚を味わえる。
今作では、住人が近くに飲食店や娯楽施設を要求してくるため、それを満たす工夫も必要とされる。
SIMPLEシリーズの廉価版では都合により省かれたものもあるが、原作では序盤ステージでイベントが起こる。
これも実在する人物をモチーフにした住人が自分の街にやってきて特殊な建造物を誘致できる利点がある。
また、イベントクリアは必ず達成できるよう設計されている。
失点
今作はステージクリア形式であり、条件達成後は自分の判断で次のステージに進むことが出来る。
しかし、前のステージには戻ることが出来ず、せっかく作った街はデータを残しておかないと消えてしまう。
また、ステージクリア条件は『人口○人以上』や『農業人口○人以上』などほとんど似たようなものであり、
要するにステージや地形が変わっても、やる事はほとんど変わらないままである。
住人の要望を聞きながら発展させていくのだが、この要望にプレイヤーは散々振り回される事になる。
評価点では、メジャー武将を扱えることを述べたが、そのメジャー武将が非常に少ない。
一般にメジャー武将として有名な羽柴秀吉・徳川家康・今川義元は固有グラにもかかわらず使用不可。
代わりに使えるのが石川五右衛門や濃姫・くのいちといった正直どうでもよさそうな面子だったり安定しない。
PS2初期に発売された『真・三国無双』にも及ばない総勢15人という極少数体制も納得できるものではない。
こちらも評価点で述べた城内ステージだが、問題点が多すぎて邪魔なだけの新要素と化している。
城内はステージによって構造も階数も異なるのだが、そこを進んでいくのはプレイヤー武将のみである。
城を制圧する戦いなのに、自分だけが城内で奮闘している光景は、忍者ならまだしも武将なら話にならない。
様々な罠が仕掛けられ、その対処は慣れるまで厳しく、さらに時間経過で炎上して体力を奪っていく。
マップは通常ステージとは異なり、通過した場所しか表示されないため、非常に迷いやすい。要するに誰得。
無双乱舞に代わって無双奥義を発動可能。しかしこれ、1度発動するとゲージが0になるまで続く仕様。
さらに2P協力では、無双ゲージが共有になっており、片方が発動するともう一方も強制的に発動される。
三国無双シリーズで出来ていたシステムの方が自由度や戦略面では断然優れているのは言うまでもない。
武将の成長が経験値でのレベルアップ方式になり、今作では新たにポイントを使ってスキルを習得できる。
このスキル習得に必要なポイントを稼ぐにはコツが必要で、無計画だと習得漏れが多発してしまう。
よって、レベルアップに必要な経験値を抑えて成長させていかないと従来のような強い武将には出来ない。
それに加えて、あるスキルが別のスキルによって意味をなさなくなる不具合もあるので、色々不親切設計。
上記の代表的な失点以外にも細かい失点要素が多い。これは無双シリーズ内で最も多いかもしれない。
まぁ猛将伝をセットで使うことで、不具合や失点の多くをカバーできるから、セットで買うことを推奨する。
ただ、この有様ゆえに『猛将伝のために、わざと不完全に仕上げたのか?』と思われても言い訳できない。
問題点により損なわれた魅力と評価
この手のゲームは筆者が好きなものであり、
住民とコミュニケーションを図りつつ街を広げていくという楽しさを体験できる点はもちろん、
テナントの種類が豊富なことや、住民の行動を観察できるなど評価点はあります。
しかし面白いはずのゲームは、問題点によって台無しになることも珍しくありません。
このゲームにおける最大の問題点は、
『住民の要望と不満の解決』というゲームのキモにあります。
住民は行動範囲内にあらゆる施設を建設することを要求してきます。
これを叶えてあげると、ある恩恵が受けられるメリットもあるのですが、
時間が経過するごとに住民が痺れを切らし始めた挙句、
さらに時間がかかってしまうと街から強制的に出て行ってしまいます。
まず1つ目は、シビアな時間制限ですね。
また、要望に応えようと施設を探そうにも、誘致するためには住民の紹介が無いとダメです。
紹介してくれる人がいれば良いのですが、いない事も珍しくありません。
さらにこういった要望があることを知らないまま無計画に開発していくと、
誘致するスペースが無くなってしまい、結局は要望に応えられない場合もあります。
もちろん要望や不満は各地で一斉に発生することも多いため、街をじっくり眺めることも出来ません。
これにより、ゲームの自由度を大幅に制限してしまっている事が面白さを損なう原因でしょう。
制限時間がもっと長ければ・・・と思います。
この住民からの要望というアイディア自体は批判しませんが、
先述したとおり自由度を大幅に制限してしまうことと、
何よりも決まったパターンで誘致する必要があることでパズルゲーム化してしまうという
致命的なゲーム性の崩壊が非常に残念でなりません。
有名人関係のイベントがなかなか面白い内容である事や、
実在するテナントが登場する点は、何度も言いますが評価されてしかるべきです。マジで。
しかし致命的ともいえる問題点のせいで、良さが台無しになったゲームと言わせてください。
本当に惜しい。アイディアが一人歩きしてしまったゲームです。
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