真・三国無双5 Special |
総合評価 |
+E |
真・三国無双5が機種を変えて再登場
プレイステーション3にて発売された真・三国無双5の強化版(自称)。
無双シリーズとして定評のあるビジュアル面や戦闘の醍醐味を強化し、
新たな形式の無双の姿を世間に解き放った意欲作がプレイステーション2で復活。
という感じでしょう。
既存の無双5は、評価点と批判点がほぼ同数か、やや批判点が目立つ作品で、
批判点にあたる部分を改良して発売したのがこれだそうです。
そもそも、無双5は様々な点を過去作と違った形に表現しており、
無双乱舞、攻撃方法、移動方法などを大幅に変更させました。
筆者はあくまでもこれらを意欲的な試みと捉えていましたが、
プレイステーション3を所持していないため、実情はイマイチ掴めませんでした。
そして登場した無双5specialを、
嫌な予感がしたせいで中古で獲得しプレイしたのです。
その出来栄えは、嫌な予感がそのまま的中したようなものでした。
評価点と失点
評価点
無双シリーズ5作目ながら、今作はもともとPS3で発売されたため、あまり多くの人にプレイして貰えなかった。
だが、普及台数がバケモノ級であるPS2で発売されたことで多くの人に認知させた。悪い意味でも。
ビジュアル面は過去作品よりも優れた面が多い。ムービーは鮮明で、ゲーム画面自体もかなり綺麗である。
さらにBGMも名曲が多く、筆者個人としては赤壁・許都・五丈原・合肥新城がダントツで好き。
ちなみに今作に限った話ではないが、BGMは高い完成度なのでサントラを買うのも悪くないだろう。
無双シリーズのコンセプトにも変更があった影響か、武将のデザインも過去作品とは異なり、一新された。
曹操や典韋などの、面影残ってるどころかほぼそのままの武将もいるが、決してこれ自体は悪くない。
三国無双としては初めてであろう、スキルシステムが導入された。能力強化や追加技能はここで獲得する。
スキルツリーの形は武将によって異なり、有利不利こそあるが、プレイの幅を広げる面では一役買っている。
武将育成だけでなく、今作では軍馬の獲得と育成が可能となっている。軍馬にも種類が色々あるようだ。
また、優れた軍馬は高能力値かつ強力なスキルを習得する事ができるため、実に頼もしい存在になる。
PS3において存在した包囲戦を廃止し、水中移動もなくなった。快適性の面で評価とする。
失点
何かユーザーに恨みでもあるのか知らないが『信頼と実績の処理落ち地獄』という新要素を導入したらしい。
前作(無双4)において、かなり改善されていたステルスが、今作では異常なまでに猛威を奮っている。
『緊急回避したら、目の前にいきなり敵が現れた』『攻撃した瞬間、スッと消えた』というウソのようなホント。
特に拠点に侵入した際、城門前で混戦中などで頻発するため、快適性については全く期待できない。
さらに2P協力では、スローモーション含めて最早酷いというレベルでは済まされない。嫌がらせの領域。
ステルス兵士地獄に加えて、今作はステージ内の敵が少ない。同じ問題を持った無双3より少ないかも。
つまり、得られる爽快感や達成感はシリーズ屈指のワーストと言っても、決して過言ではないだろう。
敵の少なさとステルスによって、拠点制圧にも時間がかかるし、戦功目標を達成することもかなり難しい。
もはやこの劣悪な仕様は『ストレスを溜めさせる事を目的に仕上げた』と言われても擁護できない。
今作はPS3版同様に、連舞システムを採用しており、ボタン連打によるコンボを狙った戦いが主流になる。
このシステム変化については賛否両論あり、筆者も戸惑いがあった。もちろんしばらくすれば慣れる範囲。
しかし、先述したステルス・敵の少なさにより、このウリとなるであろう連舞システムが破壊されてしまっている。
コンボを繋ぐ事で、強力かつ豪快なアクションが行えるのに非常に勿体無い。
マシンスペックやDVD規格における容量の問題とはいえ、ディスクが2枚組になってしまった。
1枚目と2枚目では勢力ごとに無双モードが分けられているので、魏→蜀の流れでやるには、
ディスクを入れ替えなくてはならない。また、甘寧・孫堅のみ、呉とディスクが異なる点もイマイチ不親切。
ゲーム性の向上や容量の都合によりRPGで2枚組は良いとして、アクションでこれは流石にねぇ・・・。
さらに、今作のディスク読み込みは『これでもか!』というレベルで頻繁に行われるようで、
プレイ中にディスクトレイの中身が心配になってくるほど、読み込み音が聞こえ続ける。嫌がらせの領域。
マシンスペックとDVD規格の制約上、十分なゲーム性を実現できず、失点が多くなってしまったと思われる。
だが、それを知らずに開発したはずがないし、PS3版で出来なかったことがPS2で出来るとも思えない。
今作の問題点は従来のファンにとって、とても看過出来るレベルではなく、不良品と認識されても仕方ない。
よって、今作の失点を『スペックの問題点によるもの』と定義するつもりはないし、擁護する気も微塵もない。
次世代機から旧世代機へ移行した謎
上記の問題点が浮き彫りになったり、プレステ3の問題点が残ったまま存在する原因として、
筆者は次世代機で発売したゲームを旧世代機に持ってきたことを挙げます。
見劣りするのは仕方ないことですが、
そもそもプレステ3で発売された無双5そのものは決して成功を収めたゲームとは言えず、
それにもかかわらずプレステ2に持ってきた意図が全く分からないのです。
次世代機で出来なかったことが旧世代機で出来るはずも無く、
処理落ちの酷さはプレステ3の無双5よりも激しいと推測します。
(※特にステルスと呼ばれる敵兵が消える現象により爽快感は地に落ちます。)
普及台数を考えてプレステ2に投入したとすれば、
やる気の無い方法で利益にばかり目を向けたと考えてしまいますし、
本当にそうであるならば、コーエーには失望します。
もちろん悪い点ばかりとは言いませんが、
せっかく発売されたゲームがガッカリ、或いは微妙なものではユーザーが納得しません。
かくいう筆者も無双シリーズは1〜4をプレイしており、
次世代機を持っていない身としては、淡い期待もありましたので、この評価で締めたいと思います。
(※PS3版については、協力者の自宅でプレイ済み。)
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