悪代官 |
項目 |
評価 |
面白さ |
8 |
操作性 |
7 |
快適性 |
7 |
描写性 |
5 |
音楽性 |
5 |
悪の華をコンセプトに据えたB級アクション
時代劇ではお馴染み、江戸時代を中心に蔓延った悪の象徴『悪代官』を主人公としたゲーム。
プレイヤーは悪代官となり、越後屋と共謀して正義の味方を罠や部下を使って撃退していく。
武器や罠は開発して手持ちに加え、多数用意された舞台で選択、設置していく。
正義の味方が勝つ『勧善懲悪』とは反対の『悪の華の活躍』を描いたゲームは、
B級でありながらも、一部のユーザーの心を鷲掴みにしてしまいました。
ゲーム性に良い影響を与えるバカ要素
今作のコンセプトは悪の主人公。プレイヤーは悪人として忌み嫌われる存在の悪代官。
(※ただしこの悪代官、非常に憎めないキャラであり本気で悪党に染まってるとも言い切れない部分があります。)
悪代官を操作して罠を設置し、襲来する正義の味方を前に時には自ら武器を使って攻撃する・・・。
正義の味方(※この作品における敵キャラ)は、柳生十兵衛や大岡越前、遠山の金さん、水戸黄門などのビッグネームですが、
このゲームの特色の1つとして、ツタンカーメン王・天草四郎時貞の亡霊と戦うことにもなります。
ステージも代官屋敷、町屋敷といった一般的な場所だけでなく、
奉行所を模したレジャーランド、飛空挺、ピラミッド内部といった時代を無視した場所まで幅広く用意されています。
罠では油壺や虎バサミ・落とし穴の他に、爆発する茶運び人形、拷問用木馬などバリエーションも豊富です。
ここまでの流れで察しがつくと思いますが、今作は近年稀に見るバカゲーです。
堅苦しい雰囲気を想像する人もいるかと思いますが、そんな印象は電源を入れて5分以内に吹き飛びます。
オープニングデモの時点で「ん?何だこりゃ。」と思うことは間違いないでしょう。
ストーリーにもバカ要素の数々が盛り込まれ、ムービーは9割以上が実写。この実写が良い味出してます。
ぶっ飛んだコンセプトと内容に違和感があり、そこに疑問を持つのは覚悟ですが、
それを差し引いてもバカゲーとしての完成度は非常に高く、なおかつそのバカ要素がゲーム性を高めています。
描写は鮮明ではなく、CGもちゃっちい出来栄え。実写ムービーゆえに描写性の評価も難しいですし、
BGMの種類もかなり少ないため、音楽性においても水準レベルかそれ以下という状況です。
PSを代表するバカゲーこと『せがれいじり』が、終盤作業化する欠点を持っているのに対して、
こちらは終盤まで気の抜けない正義の味方との戦いが行われます。罠・部下の配置や兵器の開発に計画性も必要です。
コツさえ掴めれば正義の味方をオーバーキルに追い込むことも難しくはなく、
それでいて心が痛む要素もないという素晴らしい完成度なのです。ただメジャークラスの完成度でないだけであって。
B級路線だからといって侮るなかれ
バカゲーとしての完成度が高く、その一方でゲームとしての面白さも併せ持った良作。
実はこのゲーム、資金繰りの厳しい中小サードが開発したために、低予算で開発されたのです。
実写ムービーを採用していること、実写には2人しか役者を採用していないこと、セットが同じであること、
時代考察に時間を割かずに思い付きアイディアを取り入れていること(エジプト遠征や研究所)など。
しかし、これら『予算の都合』により起りうる弊害はこのゲームではあまり見かけないのです。不思議。
上手くまとまってるわけでもないですし、状況を把握しづらいメイン画面、やや不親切な罠開発と装備など、
欠点もチラホラ目立ちますし見過ごせない点であることは事実です。
しかしながらB級といえども、面白いゲームという評価を下します。
侮ることはできません。バカ要素と戦略的要素の2つを楽しむ良作がこのゲームの正体なのです。
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