戦国無双 |
総合評価 |
+E |
コーエー生誕25周年記念大作(笑)
無双シリーズ待望の日本戦国時代を舞台とした一騎当千アクション。
実在した(※例外あり)武将を操って敵軍をなぎ倒す爽快感を追求したこのシリーズは、
真・三国無双2以降、コーエーの看板タイトルとなりました。
無双ファンや戦国時代に興味を抱く人々は、
戦国時代を無双シリーズで出して欲しいと心から願っていたのです。
その声に応えて登場した戦国無双はヒット作となり、
新たな無双の時代に突入していくこととなります。
しかし肝心な初作の出来栄えは、
とても記念大作という名義に相応しい出来とは思えない有様でした。
評価点と失点
評価点
真・三国無双シリーズが一世を風靡し、待望の日本戦国時代が舞台となった作品の登場そのものを評価。
三国志があるなら戦国時代も・・・というファンの期待に応えた形での発売は嬉しいことである。
織田信長や真田幸村などのメジャーどころの武将を自分の手で操って敵を薙ぎ倒すこと。
ボタン配置は三国無双とほぼ同じであり、若干の違いにも従来のファンならすんなり対応できた。
敵将を倒すことで勲功ポイントを獲得でき、このポイントを経験値として武将がレベルアップしていく。
武将によってどのステータスが成長しやすいかが決まっているので、個性重視という面でも悪くない点。
また、戦国無双から始まったスキル習得要素により、武将の個性をより強調した育成を行える。
川中島、桶狭間、長篠など有名な戦場を押さえており、イベント数も決して少なくない。
シリーズではもはや御馴染みのビジュアル面の良さは今作でも健在。ムービーもかなり鮮明である。
また、BGMにも名曲が多数あり、川中島や大阪城などは筆者だけでなく幅広く評価が高いと思われる。
三国無双にはなかった城内ステージが収録されている。ただし、これは失点要素の多いものでもある・・・。
失点
今作最大にして最凶の失点は、難易度の異常な高さ、それに加えてゲームバランスの悪さである。
難易度は従来どおり変更可能だが、今作はプレイヤー武将のレベルに応じて敵が強化される仕組み。
一応、三国無双でもそういう調整はあったが、今作は開き直ったかのような異常な強化がされることに。
せっかく育てたのに強くなった気がしない・・・だけならまだしも、逆に難易度が上がることになり、唖然。
初期状態でプレイした方が、ユニーク武器を獲得しやすいというふざけたバランス調整になっている。
従来ウリだった高い自由度を著しく抑制させてしまったことも、難易度上昇と劣悪バランスの原因である。
今作は戦闘中にミッションが始まるのだが、これに成功すれば経験値獲得や士気上昇の恩恵がある。
しかし失敗や時間切れの場合は、士気が大幅に低下してしまい、雪崩のように味方が死にまくることに。
自分の進軍経路がミッションによって決定されがちになり、無視したくても戦況の悪化を考えると難しい。
また、ミッションの中には『前のミッションで失敗することが条件』になるものもある。正直どうしろと。
さらに付け加えるが、今作は爽快感という面ではイマイチ。理由は敵が『あるステージ』を除いて少ないから。
評価点では、メジャー武将を扱えることを述べたが、そのメジャー武将が非常に少ない。
一般にメジャー武将として有名な羽柴秀吉・徳川家康・今川義元は固有グラにもかかわらず使用不可。
代わりに使えるのが石川五右衛門や濃姫・くのいちといった正直どうでもよさそうな面子だったり安定しない。
PS2初期に発売された『真・三国無双』にも及ばない総勢15人という極少数体制も納得できるものではない。
こちらも評価点で述べた城内ステージだが、問題点が多すぎて邪魔なだけの新要素と化している。
城内はステージによって構造も階数も異なるのだが、そこを進んでいくのはプレイヤー武将のみである。
城を制圧する戦いなのに、自分だけが城内で奮闘している光景は、忍者ならまだしも武将なら話にならない。
様々な罠が仕掛けられ、その対処は慣れるまで厳しく、さらに時間経過で炎上して体力を奪っていく。
マップは通常ステージとは異なり、通過した場所しか表示されないため、非常に迷いやすい。要するに誰得。
無双乱舞に代わって無双奥義を発動可能。しかしこれ、1度発動するとゲージが0になるまで続く仕様。
さらに2P協力では、無双ゲージが共有になっており、片方が発動するともう一方も強制的に発動される。
三国無双シリーズで出来ていたシステムの方が自由度や戦略面では断然優れているのは言うまでもない。
武将の成長が経験値でのレベルアップ方式になり、今作では新たにポイントを使ってスキルを習得できる。
このスキル習得に必要なポイントを稼ぐにはコツが必要で、無計画だと習得漏れが多発してしまう。
よって、レベルアップに必要な経験値を抑えて成長させていかないと従来のような強い武将には出来ない。
それに加えて、あるスキルが別のスキルによって意味をなさなくなる不具合もあるので、色々不親切設計。
上記の代表的な失点以外にも細かい失点要素が多い。これは無双シリーズ内で最も多いかもしれない。
まぁ猛将伝をセットで使うことで、不具合や失点の多くをカバーできるから、セットで買うことを推奨する。
ただ、この有様ゆえに『猛将伝のために、わざと不完全に仕上げたのか?』と思われても言い訳できない。
期待を裏切った問題作の実態
評価できる部分の印象はお世辞無しに良いのですが、
問題点の多さと、その問題の度合いに関しては擁護できないのも事実です。
(※総合評価は、猛将伝を使っていない単品での評価です。)
いくらビジュアルが良くても、戦国時代で無双できるというコンセプトが良くても、
ゲーム性、面白さ、バランス・・・そういった要素が欠陥レベルでは話にならないのです。
問題点の多くは猛将伝で改善されますし、次回作では全体的なパワーアップも目に見えて分かります。
ですが、それはそれ。これはこれ。
発売された直後の期待感は大きく、プレイして裏切られたと感じた人もどうやら少なくないようです。
筆者も発売直後、しばらくプレイしていましたが、バランスの悪さなどですぐにやる気を失くしました。
今作をどうしてもやりたいならば、猛将伝とセットでお願いします。
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