星で発見!たまごっち |
総合評価 |
E |
(※今作には筆者の怒りが現れていますので、主観的かつ長いことをご理解ください。)
携帯用から家庭用にやってきた謎の生物たち
1995年、バンダイが投入した携帯ペット育成ゲームが日本中で話題となりました。
そのゲームの名は『たまごっち』。社会現象をもたらした可愛い生物たちです。
卵型の携帯式ゲームで、中ではたまごっちという種族の生き物が生活します。
そのたまごっちは、卵から生まれて『赤ちゃん→子ども→大人→??→墓』という流れで成長し、
リアルタイムの生活をしています。
ゲームの内蔵時計(変更可能)にしたがって生活するため、
夜10時に寝る奴は、夜10時になったら本当に寝ます。
このちょっとしたリアルな感じも受けたこと、愛くるしいキャラクターだったこと、
それ以上に常に世話をする事によって感じられる一体感こそが、
ヒットの要因であったと筆者と協力者は結論として提示します。
(※当時は小学生どころか、高校生の間でもヒートアップしてたらしい。ソースはこち亀。)
そんな携帯ペットたまごっちも、ヒットを皮切りに
『新種発見!たまごっち』や『てんしっち』『森で発見!たまごっち』『海で発見!たまごっち』など、
シリーズ化されてそれぞれそれなりにヒット。
ついには携帯ペット達が卵から脱獄して、携帯電話やゲームボーイにやってきたりと、
やりたい放題になりました。
さて、今回は奴らがプレイステーションにやってきました。
筆者は昔からこの愛くるしいキャラが好きです。だからあえて言います。
「どうして家庭用にやってきた!?」
評価点と失点
評価点
90年代を代表する携帯型ペット育成ゲームの家庭用版として、オリジナル要素が多い。
詳細は評価点内に区分けするが、今作のみのたまごっちも多く、育てる楽しみを盛り込んでいる。
ゲームボーイ版で導入された大会は今作でも健在。たまごっちの日ごろの成果を発揮する姿が見られる。
ミカチューを操作してフィールドを探索しつつ、育成するたまごっちと仲良くなる事が基本ルール。
その他にも、道中に落ちている石を集めて福引に参加し、アイテムをゲットすることも可能。
フィールドでは、特定のアイテムを使って天使っちの写真撮影を行える。写真は図鑑で確認できる。
失点
最大の失点として、家庭用ゲーム機で発売したことにより、コンセプトが崩壊していることが挙げられる。
たまごっちは、携帯ペットとしての味が強く、手軽かつ目が離せない故にヒットしたという見方が大きい。
しかし今作は、わざわざプレステの電源を入れて世話をするため、手間が非常にかかる。
それだけでなく、ゲーム内の1時間は現実世界の最速でも1分。腰を下ろしてやるにしてもかなり不便である。
(※ゲームボーイ版も時間感覚は同じだが、携帯ゲーム機かつ起動がスムーズなので手間がかからない。)
たまごっち育成部屋から外に出る際、建物に入る際、何か実行する際・・・頻繁に読み込みが発生する。
これにより、従来作品がウリとしていたテンポの良さすらも台無しにしてしまっている。
これと先述した失点の2つによって、『家庭用ゲーム機に適さない』という結論に至ることができる。
オスメスの概念により、結婚させて卵を産ませることが出来るのだが、先述した手間を考えると継続は難しい。
外に出て捕まえてきた方が、場合によっては効率的である。しかし、さらなる問題点もあり、後述する。
フィールド上にいるたまごっちを連れて帰るには、そのたまごっちと仲良しになる必要がある。
ミカチューは、たまごっちに対して『手品・ダンス・唄・投げキッス』のどれかを行って、気を引くのだが・・・。
たまごっち毎に、成功する手段が決まっているのは良いとして、仲良くなるためのヒントが出てこない。
そのため、気になるたまごっちを発見しても、総当りするしかない。
さらに、アピールが失敗すると滑った空気になり、気分的にもよろしくなく、場合により罪悪感も感じる。
描写性はそこそこだが、音楽性に関しては特に評価に値するものがない。失点ではないが挽回要素が不足。
評価点で述べた写真撮影だが、天使っちを連れて帰ることが出来ない。仕方ないかもしれないが残念。
フィールド上で、育成中あるいは捕獲したたまごっちを連れ回していると、デビルっち達に誘拐されてしまう。
検証不足だが、フィールド上でも時間は流れているため、死亡判定かもしれない。だから何だという話だが。
また、フィールド上での時間経過は、当然ながら施設で育成中のたまごっちにも影響を与えることになる。
そのため、中途半端な状態で長時間外出すると、あっという間にたまごっちの状態が悪化してしまう。
フィールド探索にもいちいち気を遣わなくてはならず、遠出もし辛い。一応、施設へのワープは出来るが…。
シリーズの利点を再確認せよ
今作品の失敗は、先述したような異常なまでの効率の悪さと不快感の充実だけではありません。
最大の謎として思うのは、何故わざわざ携帯型をウリにしたものを家庭用にしたのかです。
たまごっちがヒットした要因の一つとして、手軽さは外せません。
これまでたまごっちはぬいぐるみなどの玩具を除き、
ゲームとしては常に携帯ゲーム機で発売されてきました。
ポケットサイズの可愛らしいキャラが自分の子どものように見えることや、
常に気を配らなくてはならない子育てのようなリアリティはもちろん、
何よりも一緒に居ることで生まれる一体感を感じ取れることが評価されたのだと思います。
それがどうでしょう。
今作では一体感や手軽さなど、シリーズの利点をことごとく破壊した挙句に、
お世話するためにいちいちゲーム機を起動して時間を消費するはめになり、
その内容自体も今までと差がほとんどないために、起動させる意味が分からない。
こんなのをどう評価しろと言うつもりでしょうかバンダイさん。
ゲームボーイや携帯電話は、利点を守りつつ身近な存在にさせた点を評価していますが、
これはもはやたまごっちではありません。
キャラの可愛さや、てんしっちが登場する点は評価できるとしても、
手軽さと子育て感覚を味わえる点が無いのでは話になりません。
これの反省があったのか、DSで発売されましたね。それで良いと思うんです筆者は。
これとやや似たタイプとして、モンスターファームがありますが、
いやいやこんな駄作と比べちゃダメです。別物としてください。
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