せがれいじり |
総合評価 |
C |
狙って成功した魔性のバカゲー
ドラクエやヴァルキリープロファイルなどで有名なエニックスが世に放った異色な一品。
プレイヤーは矢印頭のせがれという生物を操作し、
せけんと呼ばれるフィールドにあるオブジェを基にした作文を作っていきます。
完成した作文によって、様々なムービーや紙芝居が鑑賞でき、
作文を組み合わせる条件を満たすと、新たなオブジェがせけんに誕生し、
そこで新たに作文を作っていくという流れになります。
最終的には、せがれが一目惚れしたムスメさんと結ばれてエンディングになります。
こう書くと単純な作文作成ゲーム、鑑賞が目的に感じると思いますが、
これは筆者が知る数少ないバカゲーの筆頭格です。
しかもこのゲーム、あからさまに狙ってバカゲーになったというどうしようもない作品なのです。
(※信じていない人は、タイトルを10回ほど音読してみましょう。フヒヒ。)
評価点と失点
評価点
タイトルから察する事が出来るとは思うが、狙って成功してしまった魔性のバカゲーである。
バカゲーとクソゲーは紙一重と思う筆者だが、今作はバカに徹しており、呆れたり笑ったり忙しい作品である。
操作することになる主人公からして『せがれ』という名前で、姿は男の子の身体に矢印の頭。狙っている。
ゲームの目的が【一目惚れした『むすめさん』とラブラブになりたい】という・・・色々推測出来そうなもの。
あまり詳細には触れないが、今作では所々にこんなバカ過ぎた要素が用意されている。
『せけん』と呼ばれるフィールド画面での操作は、横スクロールアクションのようなもので、難しくはない。
移動速度がやや鈍足であることを除けば、操作性は良いほうだろう。
今作に用意されたバカ要素の最たるものは、進行システムとムービーである。
せけんに散らばっているオブジェに触れることで作文を作る。その組み合わせ次第でムービーも変化。
そして作文の組み合わせ方だが、文の繋がりがカオスでもぶっ飛んでいても強引に作文として作れてしまう。
組み合わせ全てにムービーあるいは静止画が用意されており、その数の多さと画質は大いに評価出来る。
ただし後述するが、ムービーの高画質による失点もある・・・。
せけんのオブジェには、特に意味を持たないものもある。また、タイトル画面にも意味を持たない内容がある。
プレイヤーに何かあると思わせての肩透かしであるが、これがバカゲーの盛り上げ方に一役買っている。
ただしこれも失点として後述するが・・・。
今作のバカっぷりは、ゲーム性ともども文章で表現できないレベルのものが多い。
そのため、良くも悪くもバカゲーをやってみたい人は、実際に安値で入手可能なのでやってみてほしい。
失点
タイトルからお分かりだとは思うが、今作は下ネタ(下品な表現)が多く用意されている。
そのため、下品な描写や意味深な文章・演出に耐性が皆無な人は、まず受け付けられないと言える。
ムービーの高画質は、評価点であると同時に失点にもなっている。
先述したとおり下ネタ要素が多いため、【下品な何か】ですらCGを使った高画質な描写で堂々と登場する。
この下品な描写は、全体の3割くらいはあると思われ、寒いだけのギャグも決して少ないわけではない。
やはり耐性が皆無であれば止めておくべきだし、食事中ならなおさらである。あと、徐々に病んでくる。
序盤は作文作りやムービー鑑賞を楽しいと思えるが、中盤以降は行動範囲が広がるのもあって厳しくなる。
というのも、作文を作る事により新しいオブジェが登場したり、進行の必須条件になるのだが、
何がどこにあるのか、自分がどこに居るのか、新しいオブジェがどこに出来たのかを把握しづらい。
また、『せけん』は簡易迷路のような作りなので、移動も決して便利ではない。特に終盤は迷う事になる。
(※1度でも触れたオブジェにワープ可能という救済措置があるのが救い。それでも終盤は厳しいが。)
作文を作ることによって進行するため、微妙に形が変わったり、意味深な文章が出るだけのオブジェが、
場合によっては邪魔な存在になってしまこともある。無意味なバカ要素が仇となるケース。
特に終盤は嫌でも作業化するため、バカ要素を楽しむ余裕は無くなっている可能性が高い。
そもそも、終盤の作業化という時点で、大きな失点になるのだが。
問題点も評価点の1つ?
このゲームの問題点は、終盤になると完全な作業と化すことです。
実はせけんに誕生するオブジェは、全てに触れる必要が無く、
作っていない作文があろうとも、エンディングを迎えることが出来るのです。
また、エンディングへ向かうための終盤は、
この作文組み立てが、完全作業化してしまい、だれてしまう可能性が非常に高いのです。
もちろん、意味不明な作文やって意味不明なムービーを鑑賞するのもアリなんですけど、
これをしばらく続けていくと、『精神状態がどんどんアレになる』という症状に見舞われます。
(※上記の症状は筆者が体験したものであり、なるかどうかは個人差があります。)
もはや最初はビックリした下品な物体の描写ですらも、
その描写こそが正常なものなのだと認識してしまいます。もはやダメな思考です。
ではこのゲームは欠陥商品なのか。そうではありません。
バカゲーは受け付けるか否かがシビアなジャンルですが、
この世界観が受け入れられる人にとっては良作と見る向きもあります。
もちろん純粋過ぎる人や清廉潔白な聖人君主などは避けるべきでしょう。
筆者は良作とは評価せず、あくまでもごく平凡なゲームとしています。
ただしバカゲーとしては言うまでもなく絶品です。
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