ドラゴンクエストY〜幻の大地〜

 

 

総合評価

 

 

 

 

 


上下世界を又にかけた真実探求ストーリー

ドラクエはシリーズが進むごとに様々なチャレンジをしてきており、今回のYも例に漏れていません。

上下2つの世界を舞台に、真実を探しつつ黒幕を討伐するという王道ストーリー。

堀井雄二氏の『ゲーム界における藤子F不二夫』らしさがあります。

しかしながら、従来よりは幾分難解というか、やや分かりにくさがあります。

展開を追うごとに真実が分かっていくのですが、

意識しないまま進めると何がなんだかさっぱりになりかねません。

しかし意識しながら進めるならば、なかなか面白味のあるストーリーです。

徐々に判明していく上下世界の謎、自分の本当の姿など、

言うまでもなく冒険心をくすぐる展開もあります。





評価点と失点

評価点 ドラクエシリーズ6作目、待望のリメイク版。他のナンバリングタイトルが軒並みリメイクされる中で、
このYだけがリメイクされていなかったため、このリメイクに対する反響は大きかったし筆者も待っていた
(※ただし後述するが、このリメイクの反響は良い意味でも悪い意味でも大きかったのだが。)
SFC版からのストーリーに大きな変更点はなく、懐かしい気分を味わいながらプレイできる。
今作のストーリーは無意識に進めると分かりづらいものの、なかなか高度に練られたものとして評価できる
Zからの要素である仲間との会話システムが導入され、各キャラの性格や素性などがわかりやすくなった
猫に話しかけた後の仲間の会話も逐一変化するなど、その会話内容はなかなかのボリュームと言える。
また、このシステムのおかげで、モブキャラ扱いだったアモスが一気に個性的なキャラになっているなど、
プレイ中に感じる面白さは向上しており、色々なキャラと会話する意欲を掻き立てられる
(もっともこのシステムはW・Xのリメイクでも実装されているので、今作だけの評価点ではないが。)
本編クリア後に行けるダンジョンの突入条件がリメイク版では大幅に緩和され、クリアすればいつでも行ける
SFC版では、全職業の熟練度☆5以上でなければいけなかったため、この条件緩和は非常にありがたい。
また、裏ダンジョンの裏ボスにも固有グラフィックが採用されたため、使い回しからの脱却も嬉しい。
序盤、中盤、終盤それぞれにボスの存在もあってかしっかり山場が設けられており、ダラダラしにくい
特に序盤のあるボス戦は今作屈指の難関でもあり、序盤の冒険を締めくくるにはもって来いの展開である。
転職システムにおいて下級職・上級職の区別が行われたのが今作からであることは周知のことであるが、
自分のレベルと相談しながらの熟練度上げ作業がかなり苦しい場合もあるという欠点がある。
だが、中盤のあるダンジョン内は、自分のレベルがどれだけ高かろうと戦闘で熟練度が稼げるため、
冒険中に熟練度が上がらないという場面に遭遇しても、ほとんど問題ない状態になっている。

失点

冒頭で述べたストーリーの高度さは評価点なのだが、核心に迫るまで結構時間がかかるため理解しづらい
また、今作はVを髣髴とさせる『真の敵は別にいる』というものをストーリーの根幹に置いている事もあり、
意識せずに進めると、何がどういう状況にあるか。自分の立ち位置は何なのかも把握しづらい。
(※ストーリーの変更がないのでこの失点はSFC版と共通である。)
魔法使いに転職して1回戦うだけで【メラミ】習得、超強力な【せいけん突き】【ばくれつけん】習得が容易など、
SFC版から問題視されていた転職システムの不備はリメイク版でもそのままである
もちろん使用を自重すれば問題はないのだが、Zのシステムと比べても極端であるため失点に変わりない
また、以下の失点により魔物ハンターがほとんど意味のない職業になってしまっている。どうしてこうなった。
SFC版で実装されていたモンスターを仲間にするシステムが廃止されてしまった。(Xの要素の簡略版だが)
そのため、職業の1つである魔物ハンター(魔物使い)の価値が大暴落した。まぁ元々価値は低かったが。
その代わりにスライム系がイベント時、または条件次第で仲間になる要素に変更されているのだが、
これはこれで色んな意味で中途半端に落ち着いてしまっており、劣化リメイクと言われる原因でもある
どうやら容量の問題があるという製作者側のコメントがあるようだが…容量そんなに不味かったのだろうか?
ただしこの仲間モンスターシステム自体はXから引き継いだオマケのような感じであるのも事実。
仲間にする確率もかなり極端であり、高レベル魔物使い必須という条件もあったので活用しづらかった。
そのため、人間パーティに拘るなら別に気にするほどのものではないが、リメイクで削除するのもどうかと。
リメイクのオマケ要素である【スライムカーリング】は、クリア特典が一切ない単なるミニゲームであり、
追加要素としては微妙すぎる。どうしてもやることがなくて死にそうな場合にしか活用できない感じである。
また、コースをクリアすると新しいコースに挑戦できるが、これがかなり難しいので歯応えはあるのだが…。
特典がないこと、タッチスクリーンに過度な負担がかかることを考えると、失点としか思えない






見せ場があるが故に残念な気分

移植版のガッカリ感は大きいですが、SFC版の要素を残した状態であれば、

良質なRPGという評価に出来たはずなのです。

というのも、転職前に戦うボスの1人(プロローグで登場済み)が、

尋常じゃなく強く、かなり白熱した戦いになる、という展開は熱いし見せ場といえます。

ベストドレッサーコンテストのイベントももちろんやり応えはありますし、

転職における育成も楽しいです。バランスは悪いけども。

徐々に判明していく真相を追うのもまた良いところです。

だからこそ、移植作品の期待の裏切りっぷりは半端無いのです。

筆者はSFC版をプレイしてDS版をプレイするまでの幅が短いほうですが、

リアルタイムでSFC版をプレイした人々の期待度は筆者の比ではありません。

内容はほとんど変わらない当時の良さがありますが、

利点を排除し、利点と呼べないものを取り入れてバランス調整もしていないのでは、

ガッカリされて当然です。

モノが評価できるだけに、裏切られた感があることは非常に残念です。




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