ドラゴンクエストW〜導かれし者たち〜 |
総合評価 |
+A |
失点
(※このゲームはファミコン・プレステ・DSで発売されていますが、このレビューではDS版で話を進めます。)
導かれし者たちの冒険に見る名作の姿
総勢8人(+1匹+1名)が織り成す天空編第1弾は名作と呼ぶに相応しいものです。
(※時系列的に考えると天空編第2弾と言ってよい。)
勇者が現れ地獄の帝王を倒すという予言に基づいて、
各地の戦士達が旅に出るというストーリーはなかなか大きなスケールと言えます。
王家に仕えるオヤジ戦士ライアン。おてんば怪力姫のアリーナ。
強敵にザキを乱発する神官クリフト。頑固なヒャド系魔法爺ブライ。
メタボリック武器商人トルネコ。男性欲と金銭欲の巣窟ことマーニャ。
姉のマーニャに翻弄される占い師ミネア。予言に従い育てられた勇者。
などの、個性的なメンバーがストーリーを演出します。
(※紹介が大雑把かつ適当ですが気にしないでください)
全部で5章に分けられており、それぞれ主役は色分けした通りとなっています。
これらが最後には終結し、魔王を倒す…王道でありながらも考えられた展開です。
評価点と失点
評価点
ドラクエシリーズ唯一の全6章構成オムニバス形式RPG。(本編は5章まで。6章はクリア後にプレイ可)
章ごとに操作するキャラやパーティが異なり、それぞれにしっかりと設定が存在
。NPCも意外と充実。
また、5章では主人公の勇者に加えて今までの章の中心メンバーが集結するという構成は見事と言える
。
(※ただしこのオムニバス形式は賛否両論になりやすいため、評価しない人もいるようだ。)
VやYなどのような転職システムはないものの、キャラの特徴や個性、素質に至るまでしっかり作られている。
戦士系のライアン、俊敏な超物理アタッカーのアリーナ、攻撃魔法主体のマーニャ、ネタ要素満載のトルネコ
などなど、それぞれに役目が設けられているため、戦術面を考えるにあたっての編成も非常にしやすい。
基本的に、トルネコやブライが馬車に幽閉されるのはお約束。(ブライはバイキルト要員で利用価値あり)
筆者の中でだが、最大の評価点となったのがストーリー構成と音楽性である。音楽性は後述とする。
各章目的は違うものの整った物語進行、テンポの良さが光る
。5章で集結する仲間達…よく考えられている。
また、敵対する魔族にもそれなりの理由がある、という描写も高く評価できる
のではないか。
3章トルネコは内容もシステムもかなり異質だが、これはこれで商人としての生き様を感じさせている。
高評価の中には御馴染みの、すぎやまこういちによる表現豊かなBGMも含まれている。
今作はオムニバス形式で各章で異なる展開があるが、各章のテーマ(フィールド)BGMが異なっている。
特に2章の『おてんば姫の行進』、5章で全員集結後の『馬車のマーチ』は筆者を胸躍らせた。
エスタークやラスボス戦のBGMも、死闘を予感させる曲で盛り上がりに貢献している。その他良曲多数
。
FC版でクソミソ言われたAIシステムが改善され、使いやすくなった。(※FC版は勇者以外に命令不可)
元々このAIシステムは敵との戦闘で相性や効果を学習する仕組みだったので未完成だったとも言える。
ただ、2章でアリーナと共に戦うクリフトだけは相変わらずボスにザラキを唱える
ようになっている。クリフト…。
まぁこれは初作でのクリフトが完全にネタにされた風潮を、開発陣営がそのまま採用したのだろうが。
PS版とDS版には追加要素として、Zにあったような『移民の町』が導入されている。
移民はゲーム内に点在しており、条件を満たせば現れる。移民希望者の中にはストーリーに登場した者も。
移民の町を発展させると、建物が完成してアイテム(メダル)を収集できるため、利用価値はそれなりにある。
5章ラスボスまでの攻略は筆者の鈍足プレイでもおよそ24時間程度なので、珍しくさっくりプレイできる。
単調な展開によるダラダラ感もそれほどないので、ボリュームの少なさが面白さにも良い影響を与えている。
勇者の故郷(仮)が殲滅される、サントハイム城の人々が神隠しにあう、アッテムトの絶望的状況など、
ストーリー内に鬱要素的なものがそこそこ多めにある。もちろんストーリーへの感情移入に貢献してるが…。
特にアッテムトの流れは聞き取りで『人物関係』を把握してると余計に心にきてしまうものでもある。
FC版とは異なり、作戦で『命令させろ』を実行できることで、オリジナル版よりも戦闘難易度は下がったが、
その代わりにボス級の敵が目に見えて強化されており、進展具合によってはあっさり殺される事も多い。
特に第5章で討伐する事になるキングレオは鬼畜で、ただでさえ強かったのに強化されたのは厳しい。
また、若干ではあるが仲間の成長率もFC版よりは抑え目になってるようで、さらに厳しい状況にもなりうる。
ただしRPGに付き物であるレベル上げ作業で解決できるのだが。トルネコのくちぶえがあると楽。
BGMは良曲、名曲の類が非常に多くて評価点になっているが、DSの宿命により音質が良くない。
筆者はあまり音量を上げない状態でプレイする人間なので、スピーカーではさほど気にはならないが、
イヤホンの類を装着してプレイすると、単調に聞こえてしまう。これはWに限った話ではないが。
PS版・DS版で追加された第6章の完成度が低い。というか後付丸出しなので、設定などにも違和感がある。
裏ボス戦前に、ある手順を踏まなければならない事や、裏ボス戦にある人物を連れて行かなければいけない
など面倒臭さもあり、今までの目的やストーリーの根幹を全否定しかねない内容なのは残念と言える
。
リメイク版ならではの追加要素が、第6章(失点要素)と移民の町、裏ダンジョンなのだが、どれもイマイチ。
移民の町はZのようなものだが、固有キャラ収集が面倒で情報がないとそれだけでかなりの時間を要する。
裏ダンジョンはDS版で新規のものが採用(PS版はZの流用)されたが、モンスターがZのまま。
裏ダンジョンのボスは当然強いが、第6章への繋がり方もやや強引と言わざるを得ない。
ボリュームの少なさが逆に利点
ストーリーは、FC版に基づいているせいか、やや短めになっています。
筆者はDS版を24時間くらいでクリアしています。
これはドラクエZと比較すると、約1/6程度となります。
(※Zが初ドラクエなので時間がかかったとも言えますが)
しかし章立てになっている工夫然り、イベントもそこそこ用意されているため、
短時間のプレイでも満足感は十分に得られました。
サクサク進めた結果、ラスボス戦では苦戦覚悟の死闘を繰り広げたり、
見せ場が多いのも魅力的です。
使うキャラが偏りがちになるのはゲームの性質上仕方ないとは言え、
そこは不満ですし自由に移動できる乗り物の移動速度が驚くほど遅かったりします。
また、それほど労せず強力な装備を手軽に整えられるため、
難易度の面でもバランスは悪いと言ってしまえます。
しかしストーリーを楽しむ点と個性を尊重しながらプレイに専念できる点は、
間違いなく評価できるところでしょう。
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