テーマホスピタル |
項目 |
評価 |
面白さ |
7 |
操作性 |
5 |
快適性 |
6 |
描写性 |
5 |
音楽性 |
2 |
(※今回のレビューはゲームの知名度が低いこともあり紹介を重視しています。ご了承ください。)
エレクトロニックアーツから発売されたテーマシリーズ。
製作はイギリスのブルフロッグ社で、
このシリーズは箱庭シミュレーションの代表格といえる存在となりました。
有名どころでは遊園地をデザインして経営する『テーマパーク』でしょうか。
おそらく20歳以上の人なら1度は目にした名前だとは思います。
さて、今回レビューするのはテーマシリーズの中でも異色といえる存在。
病院を経営する『テーマホスピタル』です。
自由な設計と様々な経営スタイルが実演可能なこのシリーズですが、
このテーマホスピタルは、テーマシリーズなのに制約が設けられています。
そこを踏まえつつプレイステーション版の作品ですが紹介します。
まず病院経営をする上で何をするかというのは、
設備の購入と設置、スタッフの雇用と教育、病院環境の整備、研究費や診察費の設定など。
難しそうな感じですが、基本的には説明書に載ってますので別段問題は無いです。
分かりにくそうですが理解できないほどじゃないので慣れれば基礎はOKでしょう。
設備をどこに配置するか、患者のためにベンチや自販機をどこに置くか。
どれだけのスタッフで病院経営をしていくかなど、楽しさを見出す要素は多いです。
医者が多ければ混雑も緩和できますが、暇な医者が出てきたりして人件費が無駄になりますし。
こういった頭を使いつつ自由度の高さを利用して自分の世界を作るという点がこの手のゲームにおける魅力です。
しかしながらこのゲーム。実を言うと優れているわけでもありません。
触った人ならご存知だとは思うのですが、
病院の敷地面積や形状はあらかじめ決まっていて、自由自在にプレイできるわけじゃありません。
中途半端な土地が出てしまうことはざらです。
診察や治療に使う部屋を設置する際にはかなり悩みます。
自分の想像力を働かせて作るということが難しいゲームでもあるのです。
もちろんそれが良いという人もいますが、この弊害はデザイン以外の面でも苦しませてくれます。
デザインしたらスタッフを雇用して経営するんですけど、
このスタッフが『かなりの馬鹿者』でして、
特に作業員に関しては同じところをグルグル回り続けたり、
指示しているとはいえ足元のゴミを掃除せずに無視します。
病院が大きくなればなるほど多くの作業員が必要になるんですけど、
たまに作業員同士が鬼ごっこ遊びみたいな事をしてますのでイライラします。
また、病院の土地は購入して広げますが、
外庭を使って別館に移動しなくてはならない場所だったりします。
つまり時間のロスが発生し、
本館で検査室担当だった医者が別館の手術室に行く羽目になったりするのです。
なので設計を少しでも誤ると、
『雪崩のように患者が昇天していく』
という光景を拝めるわけです。もちろん病院評価としては大マイナスです。
さらに特筆したい不満点は、ステージクリア制度を採用したこと。
まぁこれはテーマパークなどでもあったことなんですけど、
苦労して作った病院をゲームクリアを目指すために手放す事になるのは残念です。
テーマパークも世界制覇のために競売にかけて売らなくてはならなかったのですが、
あのゲームのクリア意識はそもそも薄いことと、四角形の広大な土地を使う自由度の高さがありました。
このゲームとはまた違った目的で楽しめたため、テーマパークに関しての不満点ではありません。
元が洋ゲーなので馴染めない人も絶対にいます。
筆者も洋ゲーにはかなり壁を持って接するタイプの人間です。
しかし洋ゲーだからこそ味のある演出もあります。
先述したとおり、患者が死ぬときが代表的です。
患者が死ぬとその場に突然倒れ、羽を生やして飛んで行きます。
現代でリアルな画面でやろうと思ったらPTAが発狂しそうですね。
(※PTAなどに対する皮肉です。)
また、患者がトイレを利用する場合はなかなかブツが出ない演出もあります。
患者を観察してるとトイレで踏ん張っていることがあり、
『フ〜ン!!!』という声まで聞こえます。
酷い事をサラッと言ってのける館内アナウンスの女性や、
休憩室でビリヤードに興じるスタッフなど、外国ならではの演出は好感がもてます。
テーマシリーズではお馴染みといえるであろう、ゲロ祭りも健在です。
スタッフを雇用する画面でも紹介文が面白いですね。
このように良い面と悪い面がありますが、
この手のゲームが好きな筆者はそれなりに楽しみました。
しかしながらクリアするだけの根気は無く、
わざわざ苦労して作り上げた病院をシナリオクリアであっさり手放す事にガッカリしたのも事実です。
ただ、ブラックユーモアに富んだ世界観と、
現在でも珍しい病院経営ができるという斬新な点は大いに評価されて良いのではないでしょうか。
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