星で発見!たまごっち

 

 

項目

評価

面白さ

操作性

快適性

描写性

音楽性

 

 

 

 

 


小学生時代に大流行して社会現象にまでなった携帯ゲームがあります。

その名は『たまごっち』というもので、

卵型の機械の中でペットを育てることが出来るというものでした。

今となっては何てことはないゲームと思えますが、

当時は手軽さはもちろん、キャラの愛くるしさや実際に飼い主気分になれるというのがウケて大ヒット。

色によってはプレミアムがつくほどの値段で取引されたようです。

その流行っぷりは、人気漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でも

数回にわたって登場したところを見ると分かるのではないでしょうか。

たまごっちはシリーズ化され、

『新種発見!たまごっち』『森で発見!たまごっち』『海で発見!たまごっち』『天使っち』など多岐にわたります。

言うまでもありませんが、このようなヒット作が出た途端に、

便乗しようと類似品やらパチモンが出回るのは今も昔も変わらないようですね。






今回はプレイステーションで発売された『星で発見!たまごっち』を取り上げますが、

これをご覧になる前に一つだけあえて言っておきます。時間のない人はこの一言で判断してください。


『これ買うくらいならパチモノ買ったほうがまだマシ』







評価を見ていただければ分かるとは思いますが、散々な出来です。

まず大前提である『携帯ゲーム』という概念がディスクを入れる前から崩壊しています。

たまごっちは愛くるしいキャラとコンパクトなサイズが売りの生物で、

それはこのゲーム内で視覚的に表現されていますが、

それを肌で感じるのは携帯性が実感できてこそだと思われます。

ゆえにたまごっちとしてのゲーム性は既に存在しないも同然なのです。

音楽性に関しても非常に淡白なBGMの垂れ流しに聞こえてしまいますし、

操作性においても移動の際は意外と良くはありません。




たまごっちを育成するために、

フィールド上にいるたまごっちを捕獲する必要があります。

ばんぞー博士とミカチュー助手によるたまごっちの研究というのがテーマですから、

たまごっち星に生息する奴らを捕獲して部屋にぶち込むのは分かるんですけど、

そもそものコンセプトは、

『ベビーっち時代からアダルトっち時代までの人生を観察しつつ育て上げる』

はずだったのに、このゲームではいきなり大人のたまごっちをとっ捕まえることも出来ます。

そもそもな話。それをしたら『研究にならない』のではないかと思えてきます。

さらに捕獲の仕方もぶっ飛んでいて、

『4つの手段から1つを選んで、たまごっちと仲良くなる』

というもの。たまごっちによって好みの手段があるのです。

手品だったりダンスだったりキスだったり。

成功すれば自転車のかごに入ってくれて捕獲成功ですが、

気に入らなければ逃げてしまいます。

逃げられた場合は『プレイヤーが実行した芸が滑った』ように見えてしまうので、

非常に胸糞悪い状況になります。

さらに連れて出掛けられる、連れて帰れるのはたったの1匹だけ。

つまり一緒に出掛けたら欲しいたまごっちを捕獲できないし、

1度捕まえたらまた拠点に戻らなくてはなりません。

そしてその場に再び行っても会えるとは限らないので、不親切すぎる点といえます。





さらに悪いことは続く。

フィールド移動はたまごっち捕獲以外の目的でも行うのですが、

それは大会に出場させたり福引したりする時もです。

つまり、いちいち外出する必要があるので面倒ですし、ディスク読み込みもその度にあります。

福引に関してはその存在価値が皆無と思えるほど意味不明で、

フィールド上に落ちているダイヤを集めて、それと引き換えに福引を行えますが、

商品がよく分からないもので、カメラとかあります。

まぁこれは特定のたまごっちを撮影するために必要なのですが、

それをするためにはだだっ広いフィールドを歩き回り続ける必要があり、

見つけたとしてもカメラやフィルムがなければ無条件で逃げられてしまいます。

というか、それら特定のたまごっちを育成できない悲しさが襲い掛かります。






さらに、連れて歩いている時間が長すぎた場合は、

突如デビルっちが出現して、

連れているたまごっちを誘拐していきます。

もちろんそのたまごっちは戻ってきません。

筆者はコントローラーを思い切り投げました。

このように何が目的で何がしたいのか全く分からないどころか、

プレイヤーに対してかなりの不親切っぷりを発揮しているわけでして、

評価が散々であろうと文句を言われる筋合いは無いと思います。






育成画面もほとんど見守るだけ。

時間の経過は比較的遅め。

夜中に電源付けてまでお世話したくなるような気持ちは一切生まれませんでした。

携帯ゲームから派生した形でゲームボーイで発売された作品に関しては、

携帯ゲーム機でのプレイによる手軽さが保たれていること。

流行した初期作品のキャラで構成された馴染みやすさと愛くるしさ。

などの利点が大きく、それなりに評価できるものといえます。






これほどまでに書きなぐった理由として、

筆者は小学生時代にオリジナルのたまごっちを自由帳に描くほど好きでした。

(※いわゆる厨二病的なやつですね。)

なのでまぁ、思い入れのある玩具ですから許せない部分もあるわけですね。

未だに初期作品のあるキャラが好きなままでいる筆者なのでした。


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