中小サード崩壊の予兆

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲーム販売の統括やメディア戦略はおおよそ大手が務めています。

近年はとくに顕著ですが、

ゲーム開発そのものは下請け会社が行うのが多いわけです。

このゲームの下請け会社の技術力を結集させてゲームを作る。

それが一般常識となっている背景があります。

もちろん大手が開発部を持っている場合はそこで開発するケースもありますが、

部分部分はやはり下請け会社に任せているのです。

 

 

 

この下請け会社を僕は中小サードパーティーと呼んでいます。

資本や販売などの面で大手という枠には入らず、

主に大手からの企画と内容の指示をもらって制作するのです。

 

 

 

ゲーム業界は次世代ゲーム機を開発するなどして、

その表現能力を急速に発展させています。

しかしゲームには金がかかる。

開発、宣伝などの基本要素には多額の資金が必要なのです。

この資金は、

ゲームの発達とともに増額されていく。そういう運命なのです。

 

 

 

PS3はゲーム機の中で最も開発費用が高額です。

平均しても1億円を超えるとまで言われています。

さらにソニー側のサポート体制も曖昧な状況で、当初はこれが問題視されていました。

(※今現在でもこの問題は一部で散々に言われている。)

X−BOX360は、マイクロソフトのサポート体制がソニーに比べて強いのですが、

開発費用はやはり安くはありません。

また、国内シェアも大まかに言えば微々たるものですので、

せっかく開発したゲームが売れず元を取れない状況にあります。

Wiiは上記2つのハードに比べれば開発しやすく金額も安価ではありますが、

それでも中小の資本を圧迫する規模である事に変わりありません。

 

 

 

DSは最も安価であり、開発しやすいと話題になったそうですが、

ソフトのデータを入れる販売用チップが、

数百枚単位でしか発注できないために、余分な神経をすり減らすそうです。

売れずゴミの山が出来るか、品薄で顰蹙を買うかのどっちかという状況では、

結局は中小サードにシワ寄せがやってくる羽目になります。

PSPはDSよりもスペックの高いハードのため、開発にはそれなりの費用が発生。

当初はやはりソニータイマーが発動する騒動もあり、

この状況では中小サードもかなり慎重にならざるを得ません。

 

 

 

 

まぁ何も中小サードが全ての開発費用を賄ってるわけではありません。

もちろんそれは大手の資金援助もあるでしょうが、

この景気ではゲーム業界の財布の紐が固いのも致し方ないです。

大手もなるべく開発費用を抑えて販売にこぎつけたいというのが本音で、

経費削減や開発費用縮小を中小サードに要求するケースがあります。

その要求を呑まざるを得ない中小サードの技術力が向上するはずもなく、

今現在もクソゲーの登場が後を絶たないのです。

(※現代では技術力と表現力が高いレベルで求められるが故にクソと呼ばれるものも多い。)

(※常識が変わったために、近年のクソゲーは過去のと比較して笑えないクソゲー率が高騰している。)

 

 

 

 

開発費用が不足してる状況では良質なゲームは生まれず、

そこに大手の協力が無ければ技術力の上昇も望めません。

今の中小サードは大手からすれば『使い捨て』も同然の状態です。

まともなサポートも無く、正社員5人程度の中小サードに良ゲーを求める。

それは理想主義者の戯言にしかなりません。

 

 

 

技術力が足りないのに多くを求め、高度なシステムを完備しようとすれば、

それらの性能が全く生かされていないクソゲーの誕生を増長させてしまい、

さらには致命的なバグや欠陥がゲーム業界に蔓延ってしまいかねません。

まぁユーザーの意見を悉く無視したスクエニは、

下請け中国企業にもそれを徹底しなかったという意味で自業自得と言うべきでしょう。

 

 

 

 

この状況では優秀なクリエイターが育たず、

中小サードの技術も廃れ、資金不足で壊滅するなんて事にもなりかねません。

大手が得をするのは勝手ですが、

大手が勢力を拡大させる、または良質なゲームを求め続けるためには、

中小サードへの配慮と支援が必要ではないでしょうか。

任天堂やソニーだけが発展しても仕方ないのです。

これまでの業界発展の影の立役者は、大手を支えてきた存在です。

蔑ろにしてはただでさえ下火の業界も終焉を迎えてしまうでしょう。

(※ただし景気は業界がどうこうできる問題ではなく、政府の対策に委ねなくてはならない現実がある。)

 

 

 

 

やはり景気に左右される業界というわけです。

80年代後半〜90年代中盤。

あれだけ高価なソフトがどうしてあれだけ売れたのでしょう。

景気が上向きだからこそ、そこに需要が傾いた結果です。

しかし今は逆風が吹き荒れています。

この状況をどう見るか。業界人の改革意識を強く求めます。

 

 

 

 

次回のコラムもお楽しみに!

 

 

 

 

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