しあわせトランプの恐怖(2)

 

 

 

 

 

 

 

  1. 前回のあらすじ



    スネ夫とジャイアン歓喜( ´∀`)









    という、投げやり過ぎるあらすじで始めます話の続きです。

    ページ数的にそんなに長編というわけじゃないんですけどね。ま、許して。










    さて、ところ変わってのび太のママの電話シーン。

    上機嫌で友達と話し、ついにキリの良いところでガチャッと切ります。

    充実した時間を過ごしたママは次のコマで

    「のび太!!」

    と顔色まで強引に変えて怒鳴ります。

    変わり身の早さもそうですけど、

    執念深いところがまたママの凄いところでしょうね。のび太さんも言ってますし。

    大慌てで外に出るのび太の目の前に友達が。

    しかし友達の話を聞いてのび太は驚愕します。







    「トランプに頼んだらすぐ買ってもらえたんだ。」







    と言いながらカセットデッキと自転車を見せ合う2人の友人。

    トランプに頼むという構図は常識的に考えればかなり意味不明ですね。

    (※身も蓋も無い事を言うようでアレですが・・・。)

    どうやら子供たちの間では、しあわせトランプは大好評のようで、

    願いを叶えては次の人に譲るということをしてるそうです。

    独り占めしないというところは過去作品と違うところですが、

    なんせこの道具には、

    【ジョーカーが残ったら災難が雪崩のように降りかかる】

    というとてつもないリスクがありますので無理も無いでしょう。








    たらい回しされているトランプで子供たちはそれぞれの願いを叶えています。

    その自慢話を聞いてのび太さんヨダレ全快の表情。

    「あわてて人にやることなかったんだ!!」

    とドラえもんに泣きながら八つ当たりです。

    それでもドラえもんはトランプの危険性を重要視してるので、

    のび太の訴えに同意できません。

    しかし欲に目がくらんだ(というか羨ましいと思った)のび太さんは、

    トランプを取り返すことを決意し走り出します。

    その願い事の内容は、

    【ママの怒りから逃れる前提で家に帰れるようにしてもらう】

    ということです。







    なんてちっちぇー願いなんだ!>のび太。








    のび太のトランプ捜索が始まりました。

    友達の情報を頼りに1人1人に尋ね回りますが、

    人から人へ渡されている物です。すぐに見つかるはずがありません。

    のび太も「いったい何十人使ったんだ。」と疲労の表情です。

    数コマ後、女の子の家に来たのび太。

    どうやらこの子がトランプを所有してるようで、返してもらえることに。

    やったなのび太!これで家に帰れるぜ!














    返ってきたのはハートの2とジョーカーの2枚。









    (゚Д゚;)ハァ?








    のび太、顔面気色悪くしながらビックリの表情。

    この事実を確認したのび太は女の子の家のドアを叩きながら返却を願い出ますが、

    女の子は

    「だめっ、もうあんたのものよ。」

    とのび太を軽く退けます。

    まぁジョーカーだけになったら・・・と考えれば女の子の判断は正しいです。

    しかしながらのび太に返却するときの表情が

    超嬉しそうだったのには悪意を感じます。

    まぁのび太が貰った時点で持ち主はのび太なんですけどね。








    のび太は災難を逃れるために焚き火の中にトランプを投げ込んで処分しようとしますが、

    どんな事をしてもトランプはしつこくのび太を追ってきます。

    もはやどうすることも出来ないという非情な現実です。

    しまいにはゴミ捨て場に置いてあった金庫にぶち込んで逃げますが、

    金庫ごと追ってきてのび太の後頭部に一撃加えます。

    この時点で既に災難が始まってるんじゃないのかと思うんですけど・・・?








    行き場の無くなったのび太は空き地の土管裏でうなだれます。

    「うちへ帰ることも出来ないし・・・。」

    さて、こののび太のつぶやきから来る本心とは何でしょうか。

    のび太はこの瞬間、家に帰りたいと願ったのです。

    すると、空き地前の道でのび太のママと先生がご対面。





    先生「あまり強く叱ってやる気を無くされても・・・。」

    ママ「では、今日は許してやりますわ。」





    という会話をします。

    つまりのび太としては少なくとも今日は許されたということです。

    ママの明らかな上から目線の発言はどうでも良いとして、

    のび太の願いが叶ったわけです。

    よし、のび太!安心したまえ!これで君は無事に家へ帰れr・・・。











    あ、トランプ・・・(;´Д`)








    のび太、トランプのケースを確認。

    そこには、ぶきみな笑みを浮かべるジョーカーが1枚。

    トランプをしまった金庫を振り回しながら嘆き叫ぶのび太。

    ドラえもん助けてと言いながらその表情は今にも泣きそうです。

    のび太はこうして永遠に不幸な人生を送るのでした。

















    いやいや、嘘です。まだ続きます。

    というか、

    そんなシメ方したら27巻でドラえもん終わりますよ>ハルジオンさん。

    のび太が全力疾走しつつ金庫を振り回しながら走っていると、

    何者かに激突してしまいました。災難の始まりか!?

    いや、違いました。

    のび太の持ってたトランプ入り金庫を正体不明の男がひったくって行ったのです。

    のび太は不思議そうにドラえもんにその経緯を話しましたら、ドラえもんは

    「もちろんその人が持ち主ということになる。」

    と超冷静に解説します。

    どこの誰か知らないけど可哀想に・・・と同情する2人。

    そして場面は居間のテレビ前へ。

    そのブラウン管の中に映っていたのは、









    全身真っ黒の男性とそれを捕まえた警察官。









    どういうことでしょう。

    テレビで報道してるアナウンサーの読み上げ曰く、

    男の正体は『運の悪いひったくり常習犯』だそうです。

    何故に逮捕されたかというと、

    犬に噛まれ、ドブに落ち、車にはねられて落ちたところが交番だったので、

    その場で逮捕されたそうです。

    (※車にはねられても運転手は無罪。やはりこの世界の道路交通法はおかしいですね。)





    このひったくり常習犯。

    実は、のび太が持っていた金庫を持って行った男なのです。

    金庫の中にはジョーカーが1枚。

    そして持ち逃げしたという事は所有権は男に移動。

    しかも手渡し扱いになったことで契約は成立という寸法。

    そしてジョーカーさんが本気出した。

    という流れですね。

    結果的にのび太は助かったと同時に、

    受けられるはずの恩恵をほとんど受けられなかったわけです。

    まぁママに叱られる運命から一時的とはいえ解放されたのは恩恵ですけどね。










    今回の話は、前に取り上げた『円ピツ』という道具と同じように、

    恩恵を受けられる代わりに危険を孕むという裏があることと似ています。

    ジョーカーを加えて53枚のトランプ。

    52個の幸せと1個の絶望的な不幸とが入り混じったギャンブル性の高い道具ですね。

    今回の話で、もっとも知恵を働かせたのはスネ夫。

    そしてたらい回しで恩恵を授かった子供たち。

    最後の最後でのび太に恐怖を与えた女の子。

    でしょう。

    楽ばかりが道ではない。リスクを覚悟しつつ挑みどこを引き際にするか。

    それを遠まわしに表現したこの話もなかなか深みがあるというものです。



 

戻る。