ぼくよりダメなやつがきた

 

 

 

 

 

 

 

 

2010年も既に4月の半ばを過ぎまして、

1年間ってーのは本当にあっという間に過ぎてしまうな〜と感じています。

それはそうと、未だに世間を賑やかす国会があるので、

ネタには困らない日々です。

 

 

それだけが救いだけど日本にとっては救いが無いのも事実ね。

国益を考えるハルジオンです。

 

 

 

 

 

さてさて、冒頭だけを読むと

クリックしたコンテンツを間違えたと思われそうですが、

れっきとしたドラえもんシリーズですので安心してください。

今回はコミックス23巻より『ぼくよりダメなやつがきた』です。

 

 

 

いつものように3行解説をすると、

のび太より出来の悪い子が転校してきてのび太が優越感満載でその子を振り回し、

自分と同様にダメな子に共感するけどその子は上を目指したい気持ちを持っていて

勝手にムカつくんだけど最後にはイイハナシダナーで終わります。

 

 

 

うん、話的には流れが分かるとは思うんだけども、

相変わらず適当すぎる解説ですな。まぁ勘弁してくれ。

 

 

 

 

 

まず、のび太がいつになくご機嫌で帰宅します。

ドラえもんが何事かと聞くと、のび太は転校生が来たことを告げます。

「ぜんぜんパッとしない男の子」

とのび太が紹介してるので、

どの口で言ってるんだ貴様と思いました。

 

 

 

どの程度のダメな子なのでしょうか。のび太が親切丁寧に解説します。

 

 

 

 

僕はテストで5回に1回の割合で0点をとるけど、

その子は10回に3回の割合で0点なんだってさアハハハハハ(゚∀゚)

逆上がりも懸垂もできないしかけっこは僕より遅いんだぜ!(キリッ)

 

 

 

という、普通の描写なのに悪意に満ちた説明です。

「この世に僕よりダメなやつがいるなんて素晴らしい」

とまで言ってるくらいですから、

一応は自分もダメ人間だという事を自覚してはいるようですね。

テストで0点の確率も、のび太は20%もあるという衝撃的事実。

正直言って、底辺を比較しても仕方ないと思います。

鳩山由起夫と菅直人を比較してるのと大差ありません。

 

 

 

おっと、これ以上書くとコンテンツ違いになりますし、

僕の近辺が物騒な事になりそうなので自重します。

さて、のび太よりダメな子が家にやってきました。

彼は多目(ため)君という名前で、見た目は大きなピーマンです。

別に前回のテキストを引きずっているわけじゃなくて本当にそんな感じね。

 

 

 

 

のび太と多目君は宿題をする約束をしてたようで、

のび太が「パッパッと片付けて遊びにいこう!」と言いますが、

多目君は「僕、遅いからパッパッとは出来ないよ」と言いながら勉強します。

この辺からのび太の優越感暴走による支配欲が露骨に表れてきます。

ここでドラえもんが

「何にせよ勉強する事は良い事だ」とフォローしてるのもナイスですね。

 

 

 

 

のび太が一問解き終わったので答え合わせをしようと提案しますが、多目君はまだ終わっていません。

するとのび太が超わざとらしく、

「ええっ、まだできてないのぉ!?(笑)」

と大声で言い放ちます。これ、普通の人からすれば殺意剥き出しにさせる発言です。

そこでドラえもんが

「せきたてちゃダメだよ。それぞれ自分のペースがあるんだから。」

と多目君のフォローに加えて当然のことを言います。

しかし優越感というか、自分の方が格上だと思っているのび太の暴走は収まりません。

 

 

 

「違うよ君の答え。困るな〜こんな簡単な問題を間違えちゃ。なぁドラえもん。」

 

 

 

と、こっそりドラえもんを巻き添えにする言葉も付け足してバカにします。

普段ののび太なら、言われる側でしょうけど、のび太以上に出来が悪い子なので、

今回は立場が上であることに満足してるのでしょうね。

するとのび太が自分と多目君のノートを持ちママに見せます。

 

 

「多目君のと僕のとどっちがあってる?」

 

 

と満足気な表情でママに聞いているのです。

次のコマで楽しそうな表情をして部屋に帰ってきてるので、

恐らくのび太の答えの方が正解だったのだろうと思います。

僕としては、どっちもダメだった方が香ばしい展開だろうと思ったんですけど残念。

 

 

 

ここまで見てきて皆さんはどう感じますか?

僕の見解ではのび太は大切な何かを見落としてしまっている状況にいます。

その何かというのはテキストの最後に触れましょう。

 

 

 

さて、この多目君。出来は確かに悪いのですが、

内容を見る限り悪い子じゃないし、なかなかの頑張り屋である事が伺えます。

この頑張り屋であることが何よりのび太との決定的かつ致命的な違いです。

宿題に取り組む姿勢において、すぐに飽きて横になるのび太とは対照的に、

出来ないなりに考え分からなければ人に聞く意欲を持つ多目君は実に良い。

 

 

 

 

さて、一方的に飽きたのび太は多目君を遊びに誘います。

多目君がまだ半分も出来てないと言うのですが、半ば強制的に外へ連れ出しました。

しずちゃんの前でかけっこをするのび太と多目君。

結果はのび太の勝ちですが、ハルジオンさんはのび太のエゴに少々お疲れです。

自宅に戻ったのび太は夕食の時も多目君より自分が優れている事を家族にアピールします。

「あいついいやつだよ。ずっと親友になろう。」

 

 

 

のび太はやはり大切な何かを見落としています。

この発言が何よりの証拠ですが、この後ものび太の優越感暴走は過激さを増します。

 

 

 

 

翌日、学校で廊下に立たされる2人。

のび太は、2人揃ってダメな部分を共有していこうとダメな方向に誘いますが、

頑張り屋である多目君はのび太の提案を弱腰ながらも断ります。

彼は彼なりに目標があるのです。

テストで100点をとりたい。忘れ物もしたくない。そういった目標です。

この多目君の願望にのび太は怒ります。

「なまいきだ。ぼくにさからうなんて。」

こののび太の発言に賛否両論あるかとは思います。

 

 

そんなのび太を野球に誘おうとジャイアンとスネ夫が声をかけましたが、

野球に関して三振王、失策王、鈍足王の三冠をほしいままにするのび太は、

当然やりたくないわけです。そこでのび太は非情な手段をとったのです。

 

 

 

「そうだ!かわりに多目君を誘ったら?」

 

 

 

家に帰るやいなや、のび太の優越感暴走の頂点とも言える爆弾発言が出ました。

その発言を聞いたドラえもんの表情といったら…。

まるで流刑に処されたナポレオンを見送るかのような目です。

 

 

 

「どんなゲームになるやら。想像するだけで笑っちゃうよ。」

 

 

 

この発言から皆さんは何を感じるでしょう。

さぁ本日の分岐点がここでやってきます。

のび太の言動を見かねたドラえもんが取り出したのは『配役いれかえビデオ』なる道具。

この前からののび太の行動を記録していたとドラえもん。

映し出されたのは多目君に宿題を教えているのび太の姿。テキストの最初の辺りです。

その配役を入れ替えてみます。

 

 

 

多目君の役をのび太。のび太の役をスネ夫にしてみると全てが分かります。

今までのび太が多目君にしてきたことが、

如何におせっかいであり友情とは呼べないほどの扱いだったか。

 

 

 

さっきの野球の流れにおいても、のび太がした発言をスネ夫に言わせると、

眩暈がするほどの暴力発言であったか。それにのび太はやっと気付いたのです。

自分は親友であると思っていたが、いつの間にかそこには優劣関係が出来上がっていた。

自分を正当化するために弱者を笑いものにする。

のび太の愚かしい言動に皆さんは気付いていたでしょうか。

 

 

 

 

このビデオを見たのび太は今までの自分を猛省します。

そして空き地へ向かい、試合に負けて激怒するジャイアンとスネ夫に

今にも殴られそうになっている多目君を擁護しました。

「多目君を推薦した僕の責任だ。」

と、勇気ある行動を見せ、

多目君の代わりにボコボコにされてしまいました。

しかしこれは今までの反省をしたのび太が自分の意志で選んだ決断です。

ドラえもんもこののび太の懸命なる姿勢に

「よく殴られた!!」と感激し、賛辞を送りました。

 

 

 

数日後、多目君は再び転校してしまう事になりました。

のび太への別れの挨拶に来た多目君はのび太にこのように告げました。

 

 

 

今まで君ほど仲良くしてくれた友達はいなかった。

勉強やスポーツを一緒にやってくれたり時にはいじめっ子からかばってくれたり…。

君のこと忘れない。

 

 

 

 

おぉ〜なんと感動的な場面でしょう!

(※ハルジオンさん本気で感動しています。)

今まで自分をあざ笑っていたのび太にかけた言葉は『のび太への信頼』そのものでした。

のび太からすれば全てにおいて自分と同等あるいはそれ以下と認識してたことで、

本人すら気付かないうちに彼を侮辱していました。

しかしその本質を知らなかった多目君はのび太が自分に優しくしてくれている。

自分と関わりを持ってくれている事に精一杯の感謝をしていたのです。

のび太が見落としていた大切な物。

それは人を労わる気持ち・信頼にこたえる気持ちだったのです。

 

 

 

 

「あんな風に言われると恥ずかしい。穴があったら入りたいよ。」

 

 

 

のび太は今までの自分を振り返り、恥ずかしい気持ちで満たされてしまいます。

それで良いのです。のび太としては感謝された事に変わりないですし、

今までの行動で直接彼を傷つけてきたわけでもないです。

反省すること。この話の中だけかもしれませんがのび太は1つ大きなことを学んだわけですね!

 

 

 

 

さぁオチです。

ドラえもんが、のび太の「穴があったら入りたい」という発言を聞き、

「そうかそうか」と言いながら四次元ポケットの中をガサゴソしています。

う・・・嫌な予感しかしない。

 

 

 

最後のページ半分を使った大コマで穴に落ちるのび太。

どうやらのび太の発言を本気にとったドラえもんが落とし穴をのび太の足元に設置し、

のび太が落ちてしまったようです。

まさに『穴があったので入った状態』です。

ドラえもん、もしかしてわざとやったんでしょうかね。

 

 

 

 

 

 

 

今回の話は特に考えさせる話だったと思います。

人は優位に立つと誰かを見下す性質も持ち合わせています。

僕が生きてきた23年間、そんな光景を何度も見てきましたし僕自身もやっていました。

しかし、その驕りは結果として人としての尊厳を奪うことに繋がります。

のび太は今回、多目君という出来の悪い子に対して、

「自分の方が明らかに格が上だ。だから僕は彼より偉いんだ。」

という支配欲に駆られてしまいました。結果的に何が起こったのか。

格下と認識した相手を都合よく使い自分を正当化させる行動に走ったのです。

これは自分を見失うと同時に、人としての思いやりを損なわせるマジックです。

人には優劣があるというのは実は行き過ぎた議論であると思います。

 

 

 

多目君は確かに出来の悪い子です。そこは揺るがない事実でしょう。

では彼には誇れるものが無かったのでしょうか。いいえ、ちゃんとあります。

テキストでも触れましたが、彼は頑張り屋です。すなわち努力は出来る子です。

出来ないなりにやる姿勢を持っているし、何にでも挑戦する気概はあります。

それこそ彼が誇れる優の部分でしょう。

 

 

 

人は人を馬鹿にします。

では自分がいざ馬鹿にされたらどういう心境になるでしょうか。

この世には割り切りが出来るものと出来ないものがあるのです。

そこも頭において人とのコミュニケーションを磨いていかなくてはなりませんね。

おやおや、ハルジオンさんどうしちゃったんだい?(゚Д゚)

ほなね。

 

 

 

戻る。