猿蟹合戦 |
さて、桃太郎と白雪姫がやっと終了したわけですがどっちも王道過ぎてしまったので、
今回は少し王道から離れたものを題材にしてみようと思います。
それにしても私事になるのですが、
この『猿蟹合戦』というタイトルを見るだけで笑いがこみ上げてくるんです。
何故かは知りませんが、タイトルの猿と蟹の合戦という組み合わせが斬新過ぎます。
猿と蟹ですよ!? どうよこの組み合わせ。
ワクワクさんとゴロリ並みの感動でした。
さて、前置きから興奮してますが早速本編に移りましょう。
まずこんな始まりです。
『蟹がおにぎりを持って歩いていると・・・』
この時点で何かがおかしい。
そもそもはさみを使ってそんな器用な真似ができるとは思えません。
越前ガニ、タラバガニ、沢がに、ヤドカリ、ザリガニ。
色んな蟹を想像しましたが物理的に不可能です。そもそも後半は蟹じゃねぇ!>俺。
しかし否定してはこの後の展開に支障をきたしますので、
ここでは、蟹男と仮定しておきましょう。
蟹の真似をする成人男性。
病院に行ったほうが良いかもしれませんがそれは良いとして話を進めます。
『そこへずる賢い猿が現れ、持っていた柿の種と交換しようと言ってきました。』
ずる賢い猿という事は、桃太郎に出てきたゴリラとは別ってことですね。
持っていた柿の種とおにぎりの交換を迫るわけで、わらしべ長者のような展開です。
単純に考えたら交換はしないとは思うのです。しかし・・・。
『蟹は嫌がったが、猿が「柿の種を植えれば柿木がなってずっと得だよ」と言ったので交換に応じた。』
この展開により、猿の職業は詐欺師に決まりました。
しかしここに見え隠れするこの二匹の先見性の違いが分かるでしょうか。
蟹は将来の事を見据えて交換に応じた。
猿は今まさにおにぎりが食べたくて交換を提案した。
「将来のため」と「今を楽しむ」の発想の違いです。
この発想から、蟹の趣味は貯金と断定しても良いです。
さぁ交換し終わった両者。この後の展開はこうなります。
『蟹は家に帰って、「早く芽をだせ柿の種、出さなきゃ鋏でちょん切るぞ」と種を植えながら歌った。』
交換するのを渋っていたのに歌を歌いだす陽気な蟹。
蟹が唄うという生物学者も卒倒しそうな光景です。
後半の「ハサミでちょん切るぞ」が、何故か残酷に聞こえないのが素晴らしいです。
そして
『すると、植えたばかりの種がいっきに成長して柿がたくさんなった。』
ちょん切る宣言にビビッたんでしょうか。
ジャックと豆の木を彷彿とさせる展開ですが、一気に成長して期待に応えました。
これは明らかに蟹の先見性の結果です。
しかしそこに乱入する厄介者の登場です。
『そこへ猿がやって来て柿が取れない蟹の代わりに自分が取ってあげようと木に登りました。』
蟹は流石に木に登れません。
登ってる光景を想像すると恐怖以外のなにものでもないです。
そこで木登りは得意中の得意である猿が優しさを見せるわけですが、
『ずる賢い猿は自分が食べるだけで蟹には全然やろうとしません。』
だいたいは予想通りの展開。何しろ詐欺師ですからね。
利益は独り占めする主義です。独占禁止法が適用されない世界って辛いね!
そして次はこうなります。
『蟹が早くくれと言うと猿は青くて硬い柿の実を蟹に投げつけ、蟹はそのショックで子供を産むと死んでしまった。』
さぁ皆さん。お待ちかねの最大の場面ですよ。
まず猿が青くて硬い柿を蟹に向かって投げつけるわけですが、
何も語らずキレてます。
明らかに悪意に満ちた行動ですが、流石は詐欺師。感情は一切表に出しません。
そしてぶつけられた蟹は死んじゃうわけですが、
蟹って一応甲羅を持ってるので防御力に関してはそこそこのステータスを持ってると思われます。
この理由は、序盤で述べたとおり蟹男(人間)だからです。文句言わない!
しかしその甲羅を貫く衝撃を与えたんです。
猿の投げた柿の球速はプロ野球でも通用するレベルだと仮定できます。
そして最後の子どもを産むという補足事項。
出産してる場合じゃないと思います。
おそらく衝撃の強さで子どもが出てきてしまったのでしょう。
しかし考えてみてください。子どもを産む。
つまり、実は女性だったという衝撃的事実が判明するわけです。
という事は蟹男改め、蟹女になるのです。うわ、何か違和感スゲェ!
という様々な事実が浮き彫りになる場面でございました。
しかし物語は終わりません。むしろ蟹が死んだ話で終わらせられません。
『その子供の蟹は親の敵を討とうと栗と臼と蜂と牛糞と共に猿の家に呼び寄せた。』
おい、どうやって呼び寄せたんだ。
まずそこから疑問ですが、案外簡単に解決する答えは用意されています。
仮定ですが、蟹の家には、栗・臼・蜂・牛糞に関係する何かがあったんではないでしょうか。
写真か何かが飾られており、そこには生前の蟹女と呼び寄せた4体のキャラが写っていたとか。
しかしその写真を想像すると、笑う要素しか生まれないので想像はしないようにしましょう。
そもそも繋がりが気になります。
栗・臼・蜂・牛糞ですよ?? 栗・臼・蜂・牛糞だよ???
大事な事なので2回言わせてもらいました。
共通点はどこにあるのか、彼らがどうして知り合ったのか。
結論が分からないのでたまたまにしましょう。
そして生物学上、己の意思で身動きの出来ない存在が3つ紛れているのも補足しておきましょう。
『栗は囲炉裏の中に隠れ、蜂は水桶の中に隠れ、牛糞は土間に隠れ、臼は屋根に隠れた。』
今更書いてて気付いたんですけど、
牛糞はギャグとしか思えませんよね。隠れる場所は合ってるけど。
そもそも臼が屋根に隠れる事が可能なのかが心配ですが、準備は万端のようです。
ここから蟹一族と愉快な仲間達の復讐劇が始まります。
『そして猿が家に戻って来て囲炉裏で身体を暖めようとすると栗が体当たりをして猿は火傷をおい、
急いで水で冷やそうとしたら蜂に刺され、吃驚して家から逃げようとしたら牛糞に滑り、
屋根から臼が落ちてきて猿は潰れ見事子供の蟹達は親の敵を討てた。』
蟹達? あぁ、複数いたのね。
後は見ての通りの光景ですが・・・猿の最後があまりにもグロテスクです。
そりゃ臼が真上から落ちてきたらそうでしょうけど、これって解説したらまずいんじゃないでしょうか。
まぁ栗が囲炉裏の灰を撒き散らしながら体当たりして火傷したのと
蜂が水桶から奇襲をかけたのは納得の範囲です。
しかし牛糞で滑ったのは、猿が慌ててたからなのか、牛糞が己の意思で動いたのか分かりません。
後者だった場合、世の中の法則が乱れまくる危険性があるのですが、まぁ前者としましょう。
そしてとどめは臼のボディ(?)プレスということで、決着するのですけど、
牛糞を巻き込んでる可能性が示唆されます。え?不死身なん?>牛糞。
何はともあれ贓物を撒き散らしながら息絶えた詐欺師。敵討ち成功です。
補足として、現代では猿は死なずに反省して改心するという展開だそうです。
この場合、俺がここで解説したものよりも非常にぬるい展開の敵討ちになります。
臼なんかはおそらく屋根ではなくて滑って倒れた猿に向かって
走って行ってドスーンといったんでしょうか。ぬ・・・ぬるい。
さていかがでしたでしょうか。
こんなこっけいな猿蟹合戦。しかし内容はあまりにも残酷な面を持っています。
俺の解釈が違う? はっはっは。そんなわけない!